はじめに
最近、SpaceXの民間宇宙ロケットで日本の野口さんが宇宙に行ったり、はやぶさ2がカプセルを地球に帰還させたりと、宇宙が盛り上がっていますが、宇宙系スタートアップは世界中にすでに1000社以上もあるそうです。
そんな中、面白いことを事業としている宇宙系のスタートアップがいくつかあったので紹介します。
1. Stellar amenities
2019年にアメリカで設立されたこの会社は、宇宙空間での居住について考え事業をしています。
会社のホームページは https://stellaramenities.space/ です。
宇宙船や火星で人間が過ごすときに、安全かつ快適に過ごせるような空間を設計することを目指しています。
確かに、地球から火星までは片道で2年間かかる(https://newswitch.jp/p/12804)と言われているため、その間ずっと宇宙船で過ごすことを考えると、安全であることはもちろん、精神が病まないようずっと快適に過ごせることが、非常に重要な課題に感じます。
普通は、どうやって火星に行くかという技術面や、火星で何をするかという目的、を考えてしまう気がしますが、この会社はその先に必ず考える必要が出てくる「居住空間」について先んじて行動している点が非常にユニークだと感じました。
ホームページには、宇宙船の居住空間や家具、都市化のスキーマといったプロジェクトについてより詳しく書かれています。

2. Aevum
この会社は、小型衛星などを宇宙空間に放出するための無人飛行機を開発しています。
会社のホームページは https://www.aevumlaunch.com/ です。
普通、衛星や物資を宇宙空間に送る時には垂直に発射するロケットを想像すると思いますが、Aevumは水平に発射する普通の飛行機に小型のロケットを組み合わせた方法を採っています。
特徴は「普通のジェット燃料を使った飛行機が、自動操縦にて、非常に短時間で小型衛星を軌道に乗せることができる」ということで、お金も人的リスクも時間も改良されているようです。
Virgin Orbit(https://virginorbit.com/)も民間の飛行機に独自の小型ロケットをくっつけて衛星を宇宙空間に送るサービスを開発していますが、Aevumは「無人」飛行機であることが違いとなっています。
とにかく見た目がカッコよく近未来を感じさせるデザインになっているので、一度以下の動画を見て欲しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=5OW-uB-3JB8&feature=emb_logo&ab_channel=ArmedForcesZone

詳細な解説(というかニュース記事)は以下にあります。
https://japanese.engadget.com/aevum-ravn-x-55000-084042175.html
また、英語かつ長いですが、動画で解説されているものもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=sYMqpL1DtV0&feature=youtu.be&ab_channel=Aevum
3. Space Talos LTG
宇宙空間に放射されている荷電粒子線などの宇宙放射線は、宇宙機器や人体に影響を及ぼすために、ロケットや衛星などは万全のケアが必要になります。この会社は、その宇宙放射線から機械や人を守るためにシールドを開発しています。
ホームページは https://spacetalos.com/ です。
シールド以外にも、シールドできているかのテストサービスや放射線に強い部品の情報を得られるツールも開発しています。後者のツールに関しては、実際にサービスのページ(https://spacetalos.com/services/radiation-assistant-tool/)で試しに使ってみることができます。
ミッションの特質や放射線に関する要件を入力することで、条件にあった部品を提示してくれるツールのようです(下図)。

4. ZaiNar
ZaiNarという企業が提供しているのは、スマホなどの位置情報を利用した3Dの位置情報提供サービスです。建物、人、コンテナやIoT機器の位置情報を追跡できます。精度高く追跡できるらしく、工場や建設現場、倉庫、港などでの利用が紹介されています。
そしてこの企業は、宇宙系かと思って調べていたんですが、実はGPS/GNSSは使っておらず、既存のネットワークインフラ(基地局など)を利用してメッシュネットワークを構築し、位置情報を把握している、という内容でした。。
5. Mission Space
宇宙天気を提供するサービスを提供しているルクセンブルクの企業です。宇宙天気とは、太陽活動や磁気圏、電離圏の状態を指し、その天気が宇宙や地上のシステムに悪影響を与えたり、人間の健康や生命を脅かす可能性があります。
Mission Spaceでは、独自の検出機を搭載した小型衛星をLEOに打ち上げ、コンステとして宇宙天気を観察するインフラを構築しています。
2022年のAWS Space Acceleratorに選出されており、注目を浴びている企業です。